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最近よくエッセイを読んでいます

  • 執筆者の写真: Sota Takahashi
    Sota Takahashi
  • 2023年11月2日
  • 読了時間: 3分

 タイトルそのままで、最近よくエッセイを読んでいる。もともと僕は本を読むのが苦手で、年間に読む本の数なんて1ケタ、というか0だったことも多い。読んでも批評とか、解説本とか、入門書とか、ビジネス書とか、読む行為そのものを楽しむというよりも情報を得ることを主眼とした本ばかりを読んできた。そんな僕がなんだかエッセイだけは最近読むことができるようになってきた。それもけっこう楽しんで読んでいる。こんなに読むのが好きだったかしらと思ってしまうくらいに。


 特によく読むのが芸人さんのエッセイ。もともとラジオのヘビーリスナーだった伊集院光さん、最近ドラマ化された山里亮太さん、若林正恭さん。ただなんといっても僕の心にグッときたのが太田光さんのエッセイだった。彼は「本当は自分はこういう人間ではないと思っているのに、人前に出るといらないことをしてしまって、結果全然違う人間だと他人から思われている」人だと自分で思っているような節があり、僕も自分自身の問題として共感する。他にも先に挙げた3名のエッセイもどこか自分自身が悩んでいたり、なんでこうしてしまうんだろうということに悩む人たちの文章が多い。読んでいて勇気をもらえるし、なにより言葉に力があるように感じられる。


 先日古本屋で外山滋比古さんのエッセイ、『ことばの四季』を買った。古本屋で時折見つける外山さんのエッセイ本は過去にも読んだことがあって『男の神話学』も買って読んだ。…が、どうも読み進むのが遅い。どうもノレない。何か根本的な問題意識を共有できていない気がしている。文章は簡潔で美しいし、書かれている内容もためになるような、知識欲くすぐる内容なのに。


 外山滋比古さんにはファンの方も多いだろうし、僕が読んでいるのはほんのわずかな数の冊数なので間違ったことを書いてしまうかもしれないけれど、どこか外山さんの文にはこれを伝えたい!という欲望がない気がしている。それよりもスタイルが優先されている。言い換えると作家性というか。もちろん誰しもに作家性というのはあるものなので、先に書いた芸人4人の文体にもスタイルはある。ただそれよりもエンタメ性が優先される業界にいる中で出てきた言葉には伝えたいことを伝えられるうまさがある。作家性を出そうとしていないが故に出る魅力がある…ような気がする。そして伝えたい欲望も強い。

 時折映画でそういう作り手の伝えたい熱い思いが全面に出ているものを見ることがある。ここまで書いておいてなんだけど、実はそういう映画はちょっと苦手だ。大勢の人を集めておいて個人的な思いを伝えるという行為が性に合わない。が、エッセイなら必要なのは自分自身だけなので、とても気持ちよく読める。


 訳のわからない世界の流れに流れざるを得ない自分自身を嫌いながらも、そうせざるをえない自分を受けとめるしかない。そんな矛盾を抱えながら生きている人の言葉を読んでいる気がする。それが相手に伝わってくる。そんな言葉を僕はここでも書いてみたいと思っている。これまでも、これからもね。そういうときにきっと読み返すだろう本に出会えたことがとっても嬉しかったので、この記事を書きました。おしまい。

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